オーバーアロットメントによる売り出しとは、カラ売りのこと
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IPO銘柄は、すぐに売りに出される株がどれくらいあるかが、非常に重要だ。
新しく上場する企業の株だから、買いに入る投資家も様々で、中長期的に保有する目的で買う投資家も居るし、初値が付いたらすぐに売りたい投資家もいる。
将来性がある銘柄であれば、数年保有する目的で、投資ファンドなどの買いも入るだろうし、株価が下がっても、底を確認してから買い増ししたりする。
一方、IPO新規上場で注目がある内に、さっさと利益確定して売り抜けたい投資家も多い。
特にIPO狙い専門のトレーダーは、とにかく含み益がある内に利益確定して、次の公募に応募する資金を準備しておきたい。
なので何万株の株式が、これから市場で売りに出されるのか、あらかじめ確認しておくことが重要だ。
ソレイジアの場合、公募株はおよそ2,000万株、オーバーアロットメントによる売り出しが、約300万株で、都合、2,300万株が出てくる。
なのでこの2,300万株を吸収できるくらいの買い注文がなければ、株価は上がらないということになる。
因みに、オーバーアロットメントによる売り出しというのは、簡単に言うと、カラ売りのことだ。
公募抽選に予想以上の応募があった場合、買いたいが買えなかった人がもの凄くたくさんいることになり、売買が過熱化されることが予想される。
そのため大株主から株を借りて、それを追加で売って相場を冷やす。
オーバーアロットメントによる売り出しは別名「冷やし玉」と呼ばれるが、簡単に言えば「カラ売りの初期設定」って事だね。
ロックアップ解除を警戒して買いが衰える
オーバーアロットメントによる売り出しは、大株主から借りた貸株を売ると言うもので、簡単に言うと「カラ売り」だ。
急激に株価が上がるのを冷やすので、「冷やし玉(ひやしぎょく)」などと呼ばれる。
公開株が十分に市場に出てこない場合、株価があっと言う間に上がってしまうため、一時的に株を供給するのが、オーバーアロットメントによる売り出しだ。
カラ売りだから、証券会社は株価が下がったところで買い戻せば利益になる。
冷やし玉が効かずに株価が上がってしまっても、その株を買い取るということもできる。
カラ売りは将来の買いの予約になるため、株価の下支えになるので、そんなに悪いことでもない。
ちなみにオーバーアロットメントによる売り出しは、新規公開株の15%を上限に設定されるので、ソレイジアの場合は、2,000万株弱の15%の300万株弱だ。
これはあくまでも貸株だから、総発行株数には影響を及ぼさない。
ただ市場で売買される株式の実数が、公募株数より15%増えるだけだ。
既存の大株主もたくさん株を持っているが、ロックアップ条件を満たすまでは、自分の株を売り出す事ができないので、こうなるわけだ。
逆に言うと、ロックアップ条件を満たし、ロックアップ解除されたときが、大量の売りに警戒すべきタイミングになる。
ロックアップ解除の条件にもいろいろあるが、株価が公募株価の150%になると解除される事が多い。
ソレイジアの場合、公募株価が185円だから、株価が278円になると、ロックアップ解除になって、VC(ベンチャーキャピタル)が手持ち株を放出してくるわけだね。
で、実際、初日の株価は、午前11時過ぎに279円まで上昇し、ロックアップ解除による売りを警戒したのか、そこから買いの勢いが衰え始めた。
新規IPO 上場初日の5分足チャートの例(ソレイジア 17/03/24金曜日)
初日は226円まで押した後、279円まで上昇し、結局272円で引けた。
出来高は約7,300万株で、公開株数+売り出し2,300万株のおよそ3倍になった。