思惑相場で株価急騰 貸株注意喚起
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踏み上げ相場になった2016年7月のサノヤスHD。
サノヤス造船を中核とした企業グループだったが、観覧車などのレジャー施設を設置する子会社が大阪吹田でポケモン施設を運営していたため、ポケモン関連銘柄として注目をあびた。
さらに「東証一部銘柄」「黒字」なのに「低PBR(0.4)」という、かなり割安な状況にあったため、様々な思惑を持った投資家が買いに走った。
ところがこの銘柄は、カラ売り可能な貸借銘柄だったため、カラ売り師達もたくさん集まってきてカラ売りを仕掛けた。
「ポケモンコーナー?そんなもんで業績が上向くわけないやろ」とばかりに、山ほどカラ売りを重ねた。
その結果、初動でストップ高引けの翌日は、高値でずっと揉み合うという展開になった。
寄りつきで上がったあと、ずっとヨコヨコの展開で、大引け前に大きな買いが入るも、逆に大きな売りが出て、株価が押し下げられて終了。
そして一日中揉み合っていた結果、たった一日で貸株(カラ売り)は272万株も増えていた。
日証金はこれを見て、2日目の大引け後に「貸株注意喚起」を発表して、自動的に逆日歩2倍適用になった。
サノヤスHD、3日目の5分足チャート(07/14木曜日)
翌3日目は、ギャップダウンで始まり、低空飛行で始まった。
ところが10時半過ぎに日証金から、持ち越しの貸株にかかる逆日歩が発表されるや否や、急に買いが勢いづき始めた。
というのも前日持ち越し株の逆日歩は、最高料率の2倍の1株あたり2円がついたのだ。
さらに前引けには、また大きな買い注文が連続してストップ高まで上昇し、昼休みには「貸株申し込み停止」、通称「売り禁」が発表された。
後場寄りは特売りになり、「売り禁に買い無し」という株の格言そのままに急落したが、次第にまた買いが入り、大引けにはストップ高で高値引けした。、
思惑+低PBR+逆日歩10倍適用
ポケモンGO関連銘柄として、思惑でストップ高になり、東証一部の低PBR銘柄として見直し買いが入ったサノヤスHD。
貸借銘柄だったために、これは絶好のカラ売りチャンスと見たカラ売り師達が集結して、大量のカラ売りを入れた。
ところが急騰銘柄に集まったイナゴ投資家の思惑買いや、見直し買いの勢いが意外にも強かったため、高値で引けてしまった。
その結果、カラ売りがどんどん積み上がって、大量のカラ売りが増えて、貸株注意喚起が出た。
逆日歩も逆日歩2倍の満額で、ストップ高まで上昇。
昼休みには「売り禁」、そして大引け後には、最高料率10倍適用(いわゆる逆日歩10倍適用)も発表された。
サノヤス(7022) 4日目の五分足チャート(7/15金曜 三連休前)
逆日歩10倍適用が発表されると、さすがにカラ売り側も対策を迫られる。
いくらこんな株、上がるハズが無いと思っていても、リスク対策せざるを得ない。
余力があれば買い建てして買いヘッジ両建て、余力が無ければ何株かを買い埋め損切りしてリスクを減らす。
どちらにしても株を買わざるを得なくなる。
その買いに対して、買い手側は利確売りをぶつけて儲けるわけだ。
そのため4日目は、高値でギャップアップしたあと揉み合いが続き、ホルダーがどんどん入れ替わっていった。
最後はまたストップ高で高値引けしたが、この揉み合いの間にかなりの数の貸株が返済されたらしい。
それが証拠に、逆日歩も10倍適用で上限が10円まで引き上げられたのに、2円しか付かなかった。
逆日歩10倍適用初日というのは、こういう風に貸株が劇的に返済されて、殆ど逆日歩が付かないことも多い。
ここで株価の上昇が止まるか、それともさらに上がるかが、大相場になるかどうかの境目だ。