2016年の踏み上げ相場 サノヤスの場合
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2016年後半で踏み上げ相場を作った銘柄と言えば、サノヤス・ホールディングス(3022)だろう。
サノヤスHDというのは、サノヤス造船というタンカーやバラ積み船(コンテナ船)を作っている旧・住友系の造船会社を中核とした企業グループだ。
このサノヤスが、2016年7月に、突如として注目をあびだした。
7月中旬に突如、謎のストップ高をつけ、そして翌日から大相場が始まった。
サノヤスHD(7022)、謎のストップ高(2016/07/12)
この急騰の材料は、「ポケモンGO」だった。
ポケモンGOは、任天堂のポケモンを題材として、米国のナイアンテックという企業が作ったスマホゲームだ。
ポケモンGOが米国でリリースされ、ジワジワとその話題が日本に伝わり始めたのだ。
そこで任天堂の株価も上がり始めたし、関連銘柄も物色され始めた。
その中の一つが、このサノヤスHDだった。
サノヤスなんて、ただの中堅造船所だと思っていたら、実は観覧車などを手がける遊園地関連の子会社があって、そこが大阪吹田の万博公園付近で、ポケモン施設を運営していた。
そこでポケモン施設にお客さんが増えて、業績に寄与するのではないかと、ワッと買いが入ってストップ高まで高騰した。
でも、ポケモン施設に多少お客さんが増えたくらいで、そんなに業績を伸びるわけがない。
そこでストップ高の翌日にカラ売り師達が大量にカラ売りを仕掛けたところ、なんと高値で揉み合いになった。
と言うのも実は、この銘柄、ずっと黒字経営が続いているのに、PBRが0.4くらいしかなく、低PBR銘柄でもあったからだ。
サノヤスHD、初動2日目の5分足チャート(16/07/13 水曜日)
黒字・東証一部・低PBRなら、買われてもおかしくない
2016年7月中旬に、突如、謎のストップ高をつけたサノヤスHD。
その翌日には、高値圏で一日中揉み合いになるという、デイトレ泣かせの形になった。
ストップ高の翌日というのは、利益確定の売りも出やすいし、買いの勢いが衰えれば我先に利益確定するために売りが殺到してしまう。
なのでこれから上がるのか、それとも株の重力に負けて落下するのか、判断が非常に難しいのだ。
ところがこの日は、売り優勢になって株価が下がった時間帯もあったが、値上がり率10%以上の状態をキープし、最後には猛烈な買い上がりと、猛烈な利益確定売りが出るという、中々凄い攻防が見られた。
というのも、この銘柄には、ポケモン関連という以外にも、積極的に買える条件が揃っていたからだ。
まず黒字なのにPBRが0.4台という低PBR銘柄だったこと。
PBRは会社の解散価値と呼ばれるモノで、企業資産の価値と株価の比率だ。
会社が解散したときに残る資産を株数で割ったものが、1株あたり企業価値になるが、それと比べた場合の数値がPBRだ。
そのため、PBRが1を割って低すぎる銘柄は、いずれ株価が上がるだろうということで、低PBRを狙う投資法も、株式投資入門の本には必ず載っている。
つまりサノヤスは東証一部の銘柄で、低PBRだったため、初動前の株価水準がちょっと低すぎたと判断できた。
要するに「黒字経営」「東証一部」「低PBR」という材料でも、十分に買える銘柄だったわけだね。
それがポケモンGO関連銘柄としての思惑と重なって、多方面から買い手が集まってきたと言うことらしい。
それなら、一気にストップ高に貼り付きそうなもんだが、そこは貸借銘柄。
「この会社の株は、そんなに価値があるはずがない」とばかりに、カラ売り師達がカラ売りをしまくったために、一日中、売り買いの攻防が続いたわけだ。
そしてその間に、カラ売り残がどんどん積み上がっていった。
そうしてこの日は272万株もカラ売りが増えていた。