逆日歩10倍適用の初日は、逆日歩があまり付かない
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不思議なことだが、逆日歩10倍適用が発表された直後は、大した逆日歩が付かないことが多い。
逆日歩10倍適用だ!といって掲示板が一晩中賑わっていたのに、蓋を開けてみたら株価があまり上がらず、翌営業日10時半に発表される逆日歩も、上限の10倍どころか、5銭しか付かないケースも多々ある。
というのも逆日歩の上限が10倍に引き上げられると、まともなカラ売り師達はリスク回避のために様々な対策をとるからだ。
あるカラ売り師は、カラ売りで儲けることを諦めて、リスクを最小限にするため、カラ売りの何割かを買い埋めして損切りする。
あるいは、逆日歩で資金が削られないように、カラ売りと同数の信用買いを買い立てて、両建てで逆日歩を相殺する。
というのもカラ売りというのは、さほど儲からないのに、損するとデカいからだ。
カラ売りで最大に儲かるのは、企業が倒産して株価が1円になる場合だが、それでも実は建玉の99%までしか儲からない。
通常のカラ売りでは、うまく行っても50%がやっとで、たいてい2割か3割しか利益が取れない。
一方、株価が予想に反して上がってしまった場合は、2割3割はあっと言う間に上がってしまう。
1週間で株価2倍になる場合だってある。
そして株価が2倍になると、含み損は100%になってしまい、投資金が全部吹っ飛ぶ。
こうなると、それまで何百万・何千万も儲けていても、ほんの一週間で、それが全部吹っ飛んだりすることもあるらしい。
なのでカラ売り専門のトレーダー達は、逆日歩10倍適用が発表されたら、すぐに損切りしたり、買い建てで両建てしてリスクヘッジをして、投資資金を護ろうとするわけだ。
その結果、貸株の返済が進み、ヘッジ買いの買い建ても増えるので、株不足が大幅に改善して、逆日歩があまり付かなくなるわけだ。
踏み上げ相場に発展するかどうかは、10倍適用後の貸株不足次第
逆日歩10倍適用とは、逆日歩の上限が10倍に引き上げられることだ。
通常、逆日歩の最高料率が1円だった場合、貸株注意喚起や売り禁になると、2倍の2円に引き上げられる。
これが逆日歩10倍適用になると、1円の10倍の10円まで引き上げられる。
さらに火曜日大引け時に持ち越すと、逆日歩3日分になるので、たった一晩で1株あたり30円もの逆日歩が付いてしまう。
仮に300円でカラ売りしていたら、一晩で1割が吹っ飛んでしまう計算になる。
なので逆日歩10倍適用になると、カラ売り専門のトレーダー達は、慌てて対策を講じる。
カラ売りした株の何割かを買い埋めして損切りしたり、カラ売りした株数以上に買い建てして両建てして、損失が拡大しないようにする。
その結果、貸株不足が大幅に改善して、逆日歩の上限が10倍に引き上げられたにもかかわらず、逆日歩が1円とか2円くらいしか付かなくなる。
貸借倍率が1.00前後になり、逆日歩が全く付かないことだってよくある。
株価の方も、寄り天になって、ズルズルと右肩下がりで、ヒドいときにはストップ安で終わることだってある。
つまり逆日歩10倍適用になっても、そこでさらに買いが入ってこなければ、踏み上げ相場には発展しないのだ。
因みに個人的に参考にしているのが、貸株不足の株数だ。
時価総額100億円前後の低位株の場合、売り禁になった時点で100万株以上の株不足が発生していることが多い。
しかし貸株不足が100万株前後だと、逆日歩10倍適用で数十万株まで下がってしまうので、踏み上げ相場はあまり期待できない。
一方、200万株以上の貸株不足がある場合は、まだまだ踏み上げが続くような印象がある。
因みに2016年7月に踏み上げ相場になったサノヤスHDの場合、逆日歩10倍適用前の株不足は270万株で、適用初日の大引け時点の株不足は250万株だった。